バンコクに住んで半年あまりになるが、日本から来る友人に一番よく聞かれる通信の質問がこれだ。「SIMは空港で買えばいい?それとも日本でeSIMを用意しておくべき?」
自分はタイ国内ではAISのプリペイドSIMをメインに使い、他国への出張時にはSailyのeSIMを追加するという使い分けを続けている。つまり現地SIMとeSIMの両方を日常的に使っている立場だ。
この記事では、タイの現地SIM(AIS・True)と渡航前に設定するeSIM(Saily・Airalo)を、滞在日数・通話の要否・空港での手間・テザリング・日本語サポートの5つの判断軸で比較し、条件別にどっちを選ぶべきかを正直に書く。
この記事の結論
- 対象者:タイ渡航を控えて、現地SIM(AIS・True)を買うか渡航前にeSIMを設定するか迷っている人
- 結論:7日以内の旅行なら渡航前eSIM、2週間以上の滞在なら現地SIMがコスパで逆転する
- 理由:短期はeSIMの割安さと「空港で並ばない」手間ゼロが効き、長期はAISプリペイドの単価の安さが勝つから
- 筆者の体験:バンコク在住半年あまり。AISプリペイドをメインに、出張時はSailyのeSIMを併用している
- 注意点:eSIMはデータ専用が基本。タイの電話番号が必要な用途は現地SIMでしかカバーできない
現地SIMとeSIM、何がどう違うのか
まず両者の違いを一覧で整理する。
| 判断軸 | 現地SIM(AIS・True) | eSIM(Saily・Airalo) |
|---|---|---|
| 費用 | 2週間以上でコスパ逆転、長期は最安クラス | 7日以内なら割安 |
| 購入の手間 | 空港・市内ショップで購入(パスポート提示) | 渡航前にオンラインで完結 |
| 通話・SMS | タイの電話番号付き | データ専用(Sailyは通話・SMS非対応) |
| テザリング | 通常は可(プラン規約による) | プランにより異なる。購入前に要確認 |
| 日本語サポート | 基本なし(英語・タイ語での対応) | Sailyはアプリが日本語対応 |
| 対応端末 | SIMフリー端末なら基本どれでも | eSIM対応端末のみ |
どちらが「正解」かは条件次第で変わる。以下、判断軸ごとに掘り下げる。
5つの判断軸で比較する
軸1:滞在日数 — 費用の分岐点は「2週間」
費用面の分岐点は分かりやすい。タイ・7日間・5GB相当で比較した実勢(2026年6月時点の筆者調べ)はこうだった。
| 手段 | データ量 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Saily(eSIM) | 5GB | 約$8 | 到着前に設定完了 |
| Airalo(eSIM) | 5GB | 約$10 | 幅広い国に対応 |
| AIS(現地SIM) | 15GB | 約$12 | 7日を超えるならコスパ◎ |
7日以内ならeSIMが割安。2週間を超えるあたりから現地SIMがコスパで逆転し、1カ月以上の滞在ならAISのプリペイドが最安クラスになる。AISは月200〜300バーツ(約800〜1,200円)で無制限級のプランが使える。
参考までに、AISプリペイドのプラン目安(2026年6月時点)はこうだった。
| プラン | データ | 期間 | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| 1日プラン | 1GB/日 | 30日間 | 約299バーツ |
| 無制限プラン | 速度条件あり | 30日間 | 約299〜399バーツ |
| 大容量プラン | 30GB〜 | 30日間 | 約299〜500バーツ |
Trueのプリペイドも空港やコンビニで同様に購入できるが、自分が使い続けているのはAISで、Trueの料金を同条件で比較検証したわけではない。現地SIM・eSIMのいずれも、料金はプロモーションや時期によって変動する。ここに挙げた金額はあくまで目安として、購入時に店頭や公式サイトで最新の内容を確認してほしい。
軸2:通話・SMSの要否 — 電話番号が要るなら現地SIM一択
eSIMはデータ専用が基本だ。Sailyは通話・SMSに対応していない。
短期旅行なら、これで困る場面は少ないはずだ。地図・配車・翻訳・SNS・ホテルとの連絡は、いずれもデータ通信だけで動く。
一方、滞在が長くなるとタイの電話番号が欲しくなる場面が増える。銀行や各種サービスの登録、フードデリバリーの配達員からの着信などだ。タイの電話番号が必要になる見込みがあるなら、現地SIMを選ぶしかない。
補足: 日本の電話番号のSMS認証を受けたい場合は、デュアルSIM対応端末で日本側の回線(物理SIMまたはeSIM)を残しておく方法がある。自分は日本の番号をpovoのSIMで維持し、eSIMはデータ専用と割り切って併用している。
軸3:空港での購入手間 — 並ぶ時間をどう見るか
空港のAIS SIMショップは、混雑する時間帯には30〜60分待つことがある。深夜着や連休シーズンの到着だと、疲れた状態でこの行列に並ぶことになる。
eSIMは渡航前にオンラインで購入・設定が完結する。慣れれば購入から利用開始まで10分程度で、着陸してすぐGrabとGoogle Mapsが使える。「到着直後の1時間」を並ばずに手元に残せるのが、eSIMの一番の強みだと思っている。
現地SIM派でも、到着直後だけeSIMでしのぎ、後日市内のAISショップや7-Elevenで買う折衷案がある。市内なら空港ほどの行列はまず発生しない。なお現地SIMの購入にはパスポートの提示が必要だ。
軸4:テザリング — 前提にするなら購入前に確認
PCを持ち込んで作業する人にとって、テザリングの可否は死活問題になる。
現地SIMは通常のモバイル回線としてテザリングに使えるのが一般的だが、プランの規約によるため契約時に確認したい。eSIMはサービスやプランによってテザリングの扱いが異なる場合がある。テザリング前提なら、購入前に各サービスのプラン詳細ページで対応状況を確認しておくべきだ。
軸5:日本語サポート — どちらも過度な期待はしないこと
正直に書くと、どちらを選んでも日本語の手厚いサポートは期待しない方がいい。
現地SIMの購入カウンターでのやり取りは基本的に英語かタイ語だ。プラン内容の説明も英語で受けることになる。一方eSIMは、Sailyならアプリが日本語に対応しており、購入からプラン管理まで日本語UIで完結できる。英語でのやり取りに不安があるなら、渡航前に日本語で設定を終えられるeSIMの方が心理的な負担は小さい。
補足: eSIM非対応端末(目安:iPhone XS・Pixel 3より前の機種)やSIMロックがかかった端末では、そもそもeSIMという選択肢がない。この場合は現地SIM一択になる。
AISとTrue、現地SIMならどっちを選ぶか
現地SIMを選ぶと決めた場合、次はキャリア選びになる。
| 項目 | AIS | TrueMove H |
|---|---|---|
| カバレッジ | 全国トップクラス | バンコク都市部に強い |
| 強み | 地方移動でも安心 | Trueのセット割あり |
| 入手しやすさ | 空港・コンビニ・AISショップ | 空港・コンビニ・Trueショップ |
バンコク市内で使う分には、両社の体感差はほぼない。迷ったら、自分が半年ほど使って不満のないAISをすすめる。チェンマイやパタヤなど地方への移動を予定しているなら、カバレッジの広さでもAISが無難だ。
固定回線まで含めたタイの通信環境の全体像は「タイ長期滞在の通信環境まとめ」で詳しく書いている。
結論:条件別にどっちを選ぶか
ここまでの判断軸を、読者の条件別に落とし込む。
| あなたの条件 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 7日以内の旅行 | eSIM(Saily / Airalo) | 割安で、空港で並ばずに済む |
| 1〜2週間の滞在 | どちらでも可 | 並びたくないならeSIM、費用重視なら現地SIM |
| 2週間以上の滞在 | 現地SIM(AIS・True) | コスパが逆転する |
| 1カ月以上・長期滞在 | AISプリペイド | 月300バーツ前後で無制限級。最安クラス |
| タイの電話番号が必要 | 現地SIM | eSIMは通話・SMS非対応が基本 |
| eSIM非対応・SIMロック端末 | 現地SIM | eSIMという選択肢がない |
| タイ以外も周遊する | eSIMの周遊プラン | SIMを国ごとに買い直さずに済む |
短期旅行でeSIMにするなら、SailyとAiraloのどちらでも大きな失敗はない。自分が半年使って実測も取ったのはSailyで、バンコク都市部では下り45〜80Mbpsと仕事にも使える水準だった。詳しくは「Sailyを半年使った正直レビュー」に書いている。
📱 短期のタイ渡航なら渡航前にeSIMを設定
日本語対応アプリで購入から設定まで完結。到着直後から地図・配車アプリを使えます。データ残量80%で通知が来るので使い切りの心配も減らせます。
Sailyの公式サイトを見る →eSIMの具体的な設定手順やプラン容量の選び方は「タイ旅行のeSIMおすすめ|渡航前の設定手順と空港SIMとの比較」で、マレーシア・ベトナムを含む周遊プランの比較は「タイ・マレーシア・ベトナムをまたぐeSIM比較」でそれぞれ詳しく書いている。
補足: 現地SIMとeSIMのどちらを選んでも、タイからのアクセスは日本の配信サービスには海外からのアクセスとして扱われる。日本のNetflixやTVerを見たい場合はSIM選びとは別の準備が必要で、「タイから日本のNetflixを見る方法」で解説している。
現地SIMを選んだ場合の買い方(AIS)
現地SIM側を選んだ人向けに、AISプリペイドの買い方を簡単にまとめておく。
- 空港のAISショップ、または市内のAISショップ・7-Elevenへ行く
- プリペイドSIMを購入する(パスポート提示が必要)
- 好みのプランをその場で申し込む
チャージ(トップアップ)も7-ElevenやAISショップでできる。SIMロック解除済みの端末が必要だ。近年日本で販売された端末は原則SIMフリーだが、古い端末や中古端末を使う場合はSIMロックの有無を出発前に確認しておきたい。
前述のとおり、空港ショップは混雑時に30〜60分待つことがある。到着直後は少量のeSIMでしのぎ、翌日以降に市内で現地SIMを買う二段構えが、長期滞在者としては一番ストレスがないと思っている。
まとめ
タイの現地SIMとeSIMの選び方を整理する。
- 7日以内の旅行:渡航前にeSIM(Saily / Airalo)を設定しておく。割安で、空港で並ぶ必要がない
- 2週間以上の滞在:現地SIM(AIS・True)がコスパで逆転する。1カ月以上ならAISプリペイドが最安クラス
- タイの電話番号が必要/eSIM非対応端末:現地SIM一択
- テザリング前提:どちらを選ぶ場合も、購入前にプラン詳細で対応状況を確認する
- 折衷案:到着直後はeSIM、落ち着いてから市内で現地SIMを買う二段構えも実用的
滞在日数さえ決まっていれば、この選択で迷う必要はほとんどない。東南アジア全体でのeSIMの選び方は「東南アジアeSIM完全ガイド」も参考になるはずだ。
📱 Airalo — 200以上の国・地域に対応するeSIM
タイ以外への渡航予定がある人にも使い回しやすい選択肢。新規ユーザーはコード KAIKA15 で15%オフ。
Airaloでタイのプランを見る →よくある質問
Q. タイでは現地SIMとeSIMどちらが安いですか?
A. 目安として7日以内の滞在ならeSIMの方が割安です。タイ・7日間・5GB相当で比較すると、Sailyが約8ドル、Airaloが約10ドル、AISの現地SIMは15GBで約12ドルでした(2026年6月時点の筆者調べ)。2週間を超える滞在では現地SIMのコスパが逆転し、1カ月以上ならAISプリペイドが最安クラスです。料金は時期により変動するため、購入前に各公式サイトや店頭で確認してください。
Q. AISのSIMは空港で買えますか?
A. スワンナプーム空港などのAISショップで購入できます。ただし混雑する時間帯には30〜60分待つことがあります。市内の7-ElevenやAISショップでも購入・チャージでき、購入時にはパスポートの提示が必要です。
Q. タイ旅行にタイの電話番号は必要ですか?
A. 短期旅行なら必須ではないケースが多いです。地図・配車・翻訳・SNSはデータ通信だけで動きます。一方で、長期滞在で銀行手続きや各種サービス登録が発生する場合や、配達員からの着信を受けたい場合は、電話番号付きの現地SIMが実用的です。SailyなどのeSIMはデータ専用で通話・SMSには対応していません。
Q. eSIMでもテザリングはできますか?
A. 多くのeSIMプランでテザリングは利用できますが、プランや地域によって制限がある場合があります。PC作業でテザリングを前提にするなら、購入前に各サービスのプラン詳細ページで対応状況を確認してください。現地SIMも通常はテザリングに使えますが、こちらもプランの規約によります。
Q. 旅行の途中で現地SIMに切り替えるのはありですか?
A. 2週間以上の滞在なら現実的な選択肢です。到着直後はeSIMでしのぎ、落ち着いてから市内のAISショップでプリペイドSIMを買う流れなら、空港で並ぶ必要もありません。デュアルSIM対応端末なら、eSIMを残したまま物理SIMを追加できます。
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